第25回公開憲法フォーラム レポート

令和5年5月3日に砂防会館にて開催された「公開絹布フォーラム」
憲法記念日である5月3日に「第25回 公開憲法フォーラム」が行われました。「公開憲法フォーラム」は新型コロナウイルス蔓延によりオンラインでの開催が続いていましたが、今年は4年ぶりに通常形態で開催され、800人の会場参加者、そして全国20ヶ所でネット中継が行わました。また、ライブ配信も行われ2万人が同時視聴。本年のテーマである「国難迫る 急げ、憲法に国防条項、 緊急事態条項の明記を!」について、各政党ならびに民間各界からの参加者の提言をレポートします。(桃原 裕輝)

公開憲法フォーラムとは

公開憲法フォーラムは、民間憲法臨調と美しい日本の憲法をつくる国民の会が共催する憲法改正の公開討議であり、毎年5月3日に開催しています。第25回目となる本年のフォーラムの概要を下に記します。

「第25回 公開憲法フォーラム」概要

テーマ:国難迫る 急げ、憲法に国防条項、 緊急事態条項の明記を!
開催日時:令和5年5月3日(水)午後2時~4時
出演者:
岸田 文雄氏(自民党総裁 ※ビデオメッセージ) 
櫻井よしこ氏 ジャーナリスト
主催者代表 田久保忠衛氏 杏林大学名誉教授 
柴山 昌彦氏 自民党憲法改正 実現本部副本部長 
音喜多 駿氏 日本維新の会 政務調査会会長 
濵地 雅一氏 公明党 憲法調査会事務局長 
玉木雄一郎氏 国民民主党 代表 
井上  隆氏 日本経済団体連合会 専務理事 
逢見 直人氏 富士社会教育センター 理事長 
島田 和久氏 前防衛事務次官 
岩田 清文氏 元陸上幕僚長 
河田 惠昭氏 関西大学 特別任命教授 
ジェイソン・モーガン氏 麗澤大学准教授
共催:
民間憲法臨調(代表 桜井よしこ)
美しい日本の憲法をつくる国民の会(共同代表 桜井よしこ 田久保忠衛)
協賛:
関西民間憲法臨調 [公社]国民文化研究会 新憲法制定議員同盟
[一社]全国教育問題協議会 全国防衛協会連合会 21世紀日本フォーラム 日本会議
[公社]日本国際フォーラム [公社]日本青年会議所 日本政策研究センター
[一社]日本戦略研究フォーラム [公財]富士社会教育センター 法曹関係者懇談会
民社人権会議

「第25回 公開憲法フォーラム」の視聴はこちらから

美しい日本の憲法をつくる国民の会YouTubeチャンネルで公開中。全編ノーカットで公開されています。

主催者挨拶

民間臨調副代表 西修氏

総合司会の民間憲法臨調運営委員で弁護士の内田智氏により開会が宣言され、第25回公開憲法フォーラムが始まり、民間憲法臨調副代表の駒沢大学名誉教授西修氏より主催者代表挨拶がありました。ここからは、全登壇者の発言要旨と重要キーワードの補足説明を記載します。

「討論の時期はもう過ぎた」が国民の声だ

西氏は、日本の両院の憲法審査会は2011年から12年間で30億円以上の経費がかかっていることを指摘し、討論の時期はもう過ぎているというのが我々多くの国民の声ではないかと述べた。今後、議論の対象は憲法9条、そして国家緊急権についての討論が行われるとし、憲法9条の正しい解釈には文民条項が重要と指摘。憲法66条2項により国務大臣は文民でなければならず、これはシビリアンコントロールを確保するために入れられたものと述べた。最後に、本公開憲法フォーラムにおいて、各党代表や各界代表による熱論を期待すると述べた。

シビリアンコントロールとは?

シビリアンコントロール(文民統制)は文民 (旧陸海軍の職業軍人の経歴があり軍国主義的思想に深く染まっていると考えられる者、自衛官の職に在る者 "以外") たる政治家が軍隊を統制するという政軍関係を意味です。シビリアンコントロールは、軍の暴走を防ぎ、国民の利益を守るためにも重要です。
西 修(にし おさむ)氏プロフィール

民間憲法臨調副代表。日本の法学者。駒澤大学名誉教授。政治学博士、法学博士であり、専門は憲法学、比較憲法学。

来賓挨拶

続いて、来賓挨拶が行われ、最初に内閣総理大臣である岸田 文雄氏より、自民党総裁の立場から現行憲法に対する問題点と憲法改正の必要性を訴えるビデオメッセージが上映されえた。

自由民主党総裁 岸田 文雄(ビデオメッセージ)

画像をクリックすると岸田自民党総裁ビデオメッセージYouTube動画が再生されます

緊急事態に備え、国民の生命と安全を守るための規定が必要

岸田氏は、自民党は憲法改正を党是として掲げており、憲法の基本理念である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義は今後も変わることはないが現行憲法には時代にそぐわない部分や不足している部分があるとし、自民党は自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実の4項目で憲法改正のたたき台素案として示している述べた。自衛隊の存在を憲法に明記することは、安全保障上極めて重要であり、また、新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵略などを受け、緊急事態への備えとして国民の生命と安全を守るための規定が必要であると訴えた。さらに、参議院選挙をめぐる1票の格差の問題や、地方地域の声をどのように国会に届けるのか、教育の充実についての理念などの課題についても言及。

岸田氏は、現在、国会では憲法審査会が開催され議論が重ねられていることを歓迎しつつ、自民党は、国民的議論も喚起し、今後も憲法改正の議論に国民が主体的に参画する機会を積極的に設け(下記pointを参照)、憲法改正に向けた機運をこれまで以上に高めていくことが重要であると述べた。

ビデオメッセージは、来場雨の800人とオンラインリアルタイム配信で2万人が視聴した。

自民党が提案している憲法改正の4項目

 1. 安全保障にかかわる「自衛隊」の明記と「自衛の措置」の言及
 2. 大地震が発生した時などの緊急事態対応を強化
 3. 参議院の合区解消、各都道府県から1人以上選出
 4. 家庭の経済的事情に左右されない教育環境の充実

(参考)4つの「変えたい」こと自民党の提案 (jimin.jp)

国民投票連絡会議 」をご存知ですか?

憲法改正の議論に国民が主体的に参画する場として、全国の小選挙区毎に、国会議員、地方議員、各都道府県の推進本部役員等により構成されている「国民投票連絡会議」が設立されており、憲法改正に関する情報提供や啓発活動が行われている。ただし、この数年は新型コロナウイルス蔓延により同連絡会議主催の憲法研修会の開催が滞っています。
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