松浦大悟氏 ラジオ番組でのLGBT法案コメントの補足

元参議院議員 松浦大悟氏は、5月17日 ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」で LGBT法案について解説。LGBT当事者である松浦氏が語るLGBT法案の問題の本質とは。

5月17日放送 飯田浩司のOK! Cozy up! 聴取はこちらから

飯田浩司のOK! Cozy up!」について

FM93・AM1242ニッポン放送。 月曜~金曜 朝6時~8時 放送。 日本の政治、経済、安全保障などの国内ニュースはもとより、 世界で今リアルタイムに起こっているニュースを 専門コメンテーターとディスカッション。(番組公式サイトより引用) [番組公式サイト][Podcast][番組ツイッター]

全国の自治体に入り込む「LGBT活動家」

コメント冒頭で松浦氏が述べた「LGBT活動家が学校に招かれて講演」「嘘をつかさせる活動家」について実例を挙げ補足します。

 なぜ自民党においてLGBT理解増進法案がつくられたかというと、今は全国の自治体でさまざまなLGBT活動家が学校に招かれて講演を行ったりしているんですね。その中には、トランスジェンダーの団体の集まりに行くために、親にうそをついて家から出るためのテクニックを教える活動家もいるわけです。そうた人が多様性条例の推進委員に名を連ねていたりするわけです。

「包括的性教育」で ジェンダー規範を押しつけする公立校

ユネスコなどが2009年に作った性教育についての指針、「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の中で「コンプリヘンシブ・セクシュアリティ・エデュケーション」という言葉が使われています。日本で2017年に翻訳したのですが、そのときに、この言葉を「包括的性教育」と訳して、そこから広まってきました。(引用 NHK 性教育の課題は? 話題の「包括的性教育」とは?

現在、日本の学習指導要領にはLGBTなど性的少数者について教える内容として定められていないにも関わらず、それぞれの自治体が制定する多様性を尊重した教育方針により、公立学校で「包括的性教育」が導入されています。しかし、この「包括的性教育」は多様性の名の下に、まだ自我が確立していない子供たちに性の自認をさせており、ジェンダー規範の押しつけが行われていると批判があります。

下記のツイートは、包括的性教育を推進している医師のが実際に小学生に行った性教育の内容です。「おしとやかにおうちの中でじっとしているかんじゃない」ので心は男性寄りだとしていますが、男女それぞれに対して人々がイメージする固定的な思いこみで、性自認の押しつけを押し付けています。

この「ジェンダーの4つの性」は、多様な性のあり方として全国の地方自治体のホームページに掲載されております。一例として、全国有数のLGBTに関する取り組みが行われている埼玉県のウェブサイトのリンクを記載します。

性の多様性を尊重した教育の推進 – 埼玉県教育委員会
https://www.pref.saitama.lg.jp/f2218/sexualminority.html

活動家による子供の「囲い込み」

続けて、松浦氏は「親にうそをついて家から出るためのテクニックを教える活動家もいる」と発言しています。俄には信じがたいこの発言について、補足説明します。

あるLGBT団体は、親を含めた大人の参加を不可とする「LGBT(かもしれない人を含む)」の10歳から23歳まで参加できる「居場所」の提供をおこなっており、参加する子供たちが親に「どこへ行くのと聞かれたら」と言われた際に言う嘘をSNSのハッシュタグで募集しています。性自認の確立以前に、まだ自己のアイデンティティや価値観の形成がされていない学童期や青年期の子供に嘘をつかさせて参加をさせる同団体を批判する声が上がるのは当然でしょう。更に、この団体の「居場所」で何が行われているか公表されてなく、参加する子供たちを心配する声が上がっています。

また、女性スペースを守るために活動しているLGBT当事者団体・白百合の会代表の森奈津子氏が編集した「人権と利権 「多様性」と排他性」によると、この団体の「居場所」に通い始めた子供が自身をトランスジェンダーと確信し、ジェンダークリニックでホルモン治療を受けた事例が紹介されています。

「自民党特命委員会」の瓦解

ラジオでのコメントで、松浦氏は上記の「LGBT活動家」の無秩序な活動を抑え込むために自民党は国に一定のルールを設けようとしたと述べています。これは、一体どのような事でしょうか。

 なぜ自民党においてLGBT理解増進法案がつくられたかというと、今は全国の自治体でさまざまな こうした動きに歯止めをかけて国として一定の基準を設けましょうと始まったのが、この理解増進法なんですね。その意味において野党案に近かった与野党合意案を原案に近い形に引き戻したということは評価できますが、これでもなお心配すべき点は残っていると思います。

迷走する「自民党LGBT法案」

「理解促進」を目的とする法案を作成した自民党

安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」の旗のもと、平成28年(2016年)に自民党は、党内に「性的指向・性自認に関する特命委員会」(現在の「性的マイノリティ問題特命委員会」)が設置され、今後、東京オリンピック開催に関連して野党から求められるであろう「LGBT法案」について対抗しようとしました。当時の自由民主党政務調査会だった稲田朋美氏は、古屋圭司氏を同特命委員会の委員長に抜擢。後に、新藤義孝氏が幹事長に就任。安倍総裁の側近の「保守」議員を中心に、性的指向・性自認に関する特命委員会がスタートしました。そして、特命委員会でとりまとめた「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」が同年5月24日に党総務会で了承されました。これは、性的指向・性自認の多様なあり方の受容のため、国民の理解増進を目的としたものでした。

超党派議連は稲田氏らにより「差別禁止」法案作成へ

しかし、この自民党案を特命委員会座長の稲田朋美氏は”「LGBT(性的少数者)に関する課題を考える超党派の議員連盟」(以降、超党派議連を記す)に持ち込み、理解増進法から「差別禁止法」となる文言を追加し、超党派議連案取りまとめました。稲田氏は超党派議連の会長代理も務めていたのです。

その超党派議連案(今回国会に立憲・共産・社民が提出した案)には差別は許されない」「性自認」「学校の設置者の努力」の文言が追加されていました。

自民党修正案 国会提出へ

そして、令和5年(2023年)5月18日 に自民・公明両党は、超党派議員連盟の法案を修正した法案を国会に提出しました。修正の対比は以下の通り。

画像転載:GLOBE+「LGBT理解増進法案」三つの迷走ぶり その違いは?当事者「現状より悪くなる」より

松浦氏の指摘するLGBT法案の問題点

松浦氏は、野党案に近かった与野党合意案を原案に近い形に引き戻した事を評価する一方、「差別」という文言について懸念を示しました。

 「差別」の定義が不明瞭なことです。例えば、全国の自治体では少子化対策の一環として、今婚活イベントを行っているんですね。ところが、広島県安芸高田市は2021年に婚活事業を廃止しました。理由は、子供を持てないLGBTへの配慮を欠いているからだというんですね。でも、これ本当に差別なのでしょうかと。もしこれが差別なのだとすると税金を使って行われている、こうした婚活イベントは全てやめなければなりませんね。

「差別」「不当な差別」の定義不足

広島県の安芸高田市は、LGBTなどの性的少数者への配慮を理由に、婚活事業を中止することが報じられています。少子化対策の一環として、国や地方自治体が結婚相談所や婚活イベントなどを通じて、男女の出会いの場を提供する取り組みが行われており、「LGBT法案」を制定するにあたり「LGBT差別」が定義されなければ、今後も婚活事業を中止する地方自治体が出てくるでしょう。

「性自認」「性同一性」の定義が不明瞭

次に松浦氏は「経産省事件」について触れます。

「性自認」を「性同一性」に置き換えましたが、これどちらもジェンダーアイデンティティーを和訳したもので、主観を前提にしていることに違いはないんですね。現在、経産省のトランスジェンダーの職員が省庁の女子トイレを使わせてほしいと裁判を起こし、最高裁で審議が行われているんです。その人は性同一性障害の診断書を医者からもらってはいるんですが、健康上の理由から男性器を切除することはできないんですよ。もしこうした人を女性専用スペースに入れなければ、LGBT団体は不当な差別だと主張すると思います。
経済産業省事件について

経産省の職員である性同一性障害者の原告は、生物学的には男性であり性自認は女性であり、女性ホルモンの長期間の投与により男性の性機能を喪失しています。原告は上司に性同一性障害を告白し、女性職員として働きたい旨を伝え経産省の所属部署で説明会が開かれ、原告の性同一性障害と女性職員としての意向が他の職員に伝えられました。経産省は女性用休養室やトイレの使用、乳がん検診などを許可しましたが、トイレは女性用トイレの一部制限として原告の勤務する部署から2階以上離れたトイレの使用が条件となりました。

女性職員として働き始めた原告は、性別適合手術ができないために性別変更手続きが進みませんでした。上司や人事担当者は原告に足し、「手術を受けなければ異動できない」「手術を受けずに異動する場合はカミングアウトしなければ女性トイレの使用は認められない」と発言。彼らは女性トイレの使用がセクハラや法律違反になる可能性があると主張しました。(引用 (第5回)経済産業省事件再考――トイレ問題から差別問題へ・控訴審判決をめぐって(立石結夏)

東京地裁の一審判決では、トイレ使用制限は違法であり、個人の性自認に基づいてトイレを選択する権利を認めましたが、一方、高裁の判決では、経済産業省の対応は主治医や同僚の意見を十分に考慮し、他の職員の性的不安も考慮した上での判断であり経産省側に注意義務違反はないと判断し、東京地裁の判決を覆しました。

「性自認」か「身体」か

済産業省事件では、性同一性障害者の女性職員として働く原告が女性トイレの使用制限を受けた問題が争われました。原告は生物学的には男性でありながら性自認は女性であるとし、女性トイレの利用を求めました。このようなケースにおいて、「本人の性自認」か「身体」かを優先すべきかは、ジェンダーと人権の観点から複雑な議論があります。

経済産業省事件では、性同一性障害者の女性職員として働く原告が女性トイレの使用制限を受けた問題が争われました。原告は生物学的には男性でありながら性自認は女性であるとし、女性トイレの利用を求めました。このようなケースにおいて、「本人の性自認」か「身体」かを優先すべきかは、ジェンダーと人権の観点から複雑な議論があります。

「本人の性自認」を優先する立場では、個人の自己認識や性自認に基づいて社会的な承認や権利を認めるべきだと主張されます。性同一性障害者は、自分の内面に基づいて自己の性別を確立し、それに合った生活や社会参加を望んでいます。トイレ使用などの社会的な制約が個人の性自認に反する場合、それは自己のアイデンティティや尊厳を侵害する可能性があります。

一方、「身体」を優先する立場では、生物学的な性別や身体的な特徴を基準にするべきだと主張されます。トイレやスペースの利用には、性別に基づく安全やプライバシーの配慮が必要であり、性自認だけでなく身体的な要素も考慮すべきだとされます。女性トイレの使用においては、生物学的に女性ではない者が利用することで、女性の安心感やプライバシーが損なわれる可能性があるという懸念が存在します。

松浦氏の発言を聞いて

この問題は、ジェンダーの多様性と他者の権利のバランスを取る難しい課題です。社会的な共存と包括性を実現するためには、個々の状況やニーズを考慮し、公平な解決策を見つける必要であり、法的な枠組みやガイドラインの整備、対話と教育の促進、多様なスペースの設計などが必要です。しかし、現在、国会に提出されている3つの法案は、LGBT諸問題を解決し、すべての人の人権や尊厳を尊重する社会を実現は不可能であり、法的安定を害するものです。よって、私は廃案を求めます。(桃原 裕輝)

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当ブログエントリは、下記2冊も参考に記載しました。

LGBTの不都合な真実 活動家の言葉を100%妄信するマスコミ報道は公共的か Kindle版 松浦大悟 (著)

本書は、LGBT当事者である元参議院議員の松浦氏が、急進的LGBT活動家が触れたがらない不都合な真実をあぶりだし、保守の立場からの新しいLGBT論を提唱する。差別と公正、人権と正義、保守とリベラルなど、まったく新しいLGBT論です。Kindle版はすぐに読めます。
人権と利権 「多様性」と排他性(月刊紙の爆弾2023年6月号増刊)森 奈津子 (編集)

"倒錯した「性の多様性」、突き進む「性自認至上主義」――マスコミが美辞麗句で隠す実態を公開し、その知られざる危険性に警鐘を鳴らす!" LGBT当事者団体・白百合の会代表で女性スペースの会の中心メンバーである森奈津子氏が編集。 おすすめの一冊。
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